信州シェアスペース開設計画

信州でシェアスペースを作る夢を抱く、竹下喬(筆名)のブログ。研究や私用で訪れたシェアスペースの紹介、本務である教育社会学の研究での若者のシティズンシップに関するもの、その他私的な出来事の発信をします。

多様性の坩堝・野尻湖がアツい!〜なぜ野尻湖には周遊バスがないのか?

ボクは8月、学術調査、登山、シェアスペース調査など忙しく長野県に訪れていました。今月だけでも長野、松本、伊那安曇野、諏訪、長野ではないけど清里といった地域を訪れ、構想を練ったり研究活動をしたりしていました。

 

色々な地域を訪れる中、個人的に面白かった地域を今回は紹介します。

 

その地域とは野尻湖です。

 

野尻湖は長野県上水内郡信濃町にある、長野県で第2位の面積を誇る湖です。第1位はこれも有名な諏訪湖ですが、貯水量という点では野尻湖のほうが多いです。というのも、野尻湖は水深が深いところで30m超あり、水深が深くない諏訪湖とは環境が違うのです。

また、野尻湖は国際観光地としても知られ、多くの人が春夏秋冬問わず訪れ、春は花、夏は水、秋は紅葉、冬は釣りとスキーと娯楽が目白押しです。

 

ところで、そんな野尻湖ですが、驚くべき事実があります。

それは、湖の周遊バスがないということです。

 

野尻湖しなの鉄道北しなの線(旧信越線)の黒姫駅からバスで10分程度、徒歩で30分程度の場所にあります。特別駅からは遠くないものの、野尻湖バスセンターまでは黒姫駅と飯山駅からバスがあり、アクセス自体は比較的良い観光地です。

 

ところが、湖付近は、湖を周遊する野尻湖観光汽船の港付近にバスがつくのみで、それ以外の野尻湖のスポットを訪れることができないのです。汽船も湖を周遊し浮島である琵琶島に行けるのみです。では野尻湖が広くないのか、と言われるとそうでもなく、面積はそれなりに広くさらに湖周辺は標高差が100m近くあるので起伏が激しいのです。まともに歩いたら1周3時間程度はかかります。正直野尻湖を一通りみたい者としては、あまりにも不便なものです。

 

ではなぜ周遊バスがないのか?

 

明確な答えはわからないものの、ボクはある仮説を立てました。

 

それは「それぞれの地域の特色があまりにも異なり、相互不干渉なのでバスが必要ない」ということです。つまり、野尻湖に訪れる人は野尻湖のあるスポットに訪れるのみで、他のスポットに移動しないのです。

 

では、野尻湖にはどのような地域があるのでしょうか。

 

まず、代表的なのは「外国人保養地」です。

野尻湖は明治時代から外国人の避暑地として開発されてきました。今でも多くの外国人が別荘を構え、夏を満喫しています。主にカナダ人、アメリカ人の北米出身の方が多く、野尻湖で遊泳したりボートを楽しんだり、北米のサマーライフスタイルを楽しんでいる姿が見られます。最近注目されているゲストハウスLAMPもこの地域にあります。 (http://www.sundayplanning.com/lamp/

多くの人は別荘に長期間滞在するようです。

 

次に、青年キャンプ地があります。

青年キャンプとは、YMCA、YWCAなどのキリスト教青年団体が運営しているもので、自然活動や自主的な生活を営み主体性や思考力を養うことを目的としています。いわゆる「教育キャンプ」と呼ばれるものですね。ここには多くの青年が夏の自然活動をするために集まります。多くはキャンプ地で15日程度活動し、東京へ帰ります。

多くの人はキャンプ地で15日程度の滞在をしています。

 

最後に、ウォータースポーツ地です。

野尻湖では多くのウォータースポーツが楽しめます。モーターボート、カヌー、バス釣りが多いようです。また、夜はパーティーやBBQを楽しんでいるようです。そのために安く宿泊できる民宿が多くあり、また野尻湖観光汽船などの観光客が訪れるスポットとも近くアクセスも良いです。

多くの人は1,2泊程度の短期滞在をするようです。いわゆる観光客の方々です。

 

このように、野尻湖には多様なライフスタイルが混在し、相互が不干渉です。その結果、お互いの地域に入ることはないようです。その結果、野尻湖では周遊バスを運行する必要がないのではないか、と結論づけました。

 

野尻湖ほど多様な人が集まる地域は珍しいですが、長野県の多様性を考える上ではとても面白い事例でした。

 

個人的に注目している株式会社LIGさまの野尻オフィスも気になりますし( http://liginc.co.jp/179845 )、今後も目が離せません!